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厨房で逢いましょう [2008年 レビュー]

厨房で逢いましょう」(2006年・ドイツ/スイス) 監督・脚本:ミヒャエル・ホーフマン

 ドイツ映画で厨房モノと言えば思い出すのはハリウッドでもリメイクされた「マーサの幸せレシピ」。
 あの傑作と比較すべきではないのだけれど、心のどこかで勝手にイメージするものがあったのは事実。映画を観る上で邪魔以外の何物でもない「先入観」というヤツを上手くリセットする方法はないものだろうか。
 
 本作の主人公も、人付き合いが苦手なシェフ。
 幼い頃から料理に目覚め、料理一筋で生きてきたグレゴアは、多くの食通を唸らせる天才シェフとなり、専門書で紹介されるほどの腕前を誇っていた。経営する小さなレストランは数か月先まで予約で埋まるほど大人気。ところが休日はお気に入りのカフェでウェイトレスを眺めるのが趣味という孤独な男だった…。

 いい映画だと思う。
 絵画のようなカット割り、過剰過ぎない自然な照明、編集にも無理がなくて、テンポも間もいい。俳優も演技しているとは思えないほどリラックスしていて言うことなし。但し、唯一脚本だけはリライトの必要があった。狂おしいほどもったいない。
 
 カフェのウェイトレス、エデンはあることをきっかけにグレゴアのシェフとしての腕前を知ることになり、その技と味の虜になってしまう。しかしレストランは数か月先まで予約が一杯。しかも料金が300ユーロと高い。
 さて僕が一番不満だったのは、「エデンがちょっと図々しい女に映ってないか?」ということ。彼女が「私たちは友だち」と言う割に、僕にはその友だちを蔑にしているように映ったからだ。グレゴアも無口で無表情が過ぎた。もったいない。ドラマ序盤から中盤にかけて2人の心理描写が描き切れていたら、この映画は今年のベスト3に入ったと思う。
 しかし。
 観る価値は充分にある。劇中の料理を楽しめない代わり、映画の“後味”だけは観客全員が堪能できるからだ。キャラクターの設定に“味”があるのも見逃せない。ハリウッド映画に飽きた人にはお勧めの一品だ。

厨房で逢いましょう

厨房で逢いましょう

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD

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コメント 2

non_0101

こんばんは。
こってりした“食”と“愛”にびっくりさせられた作品です。
ストーリーの展開も意外でびっくりでした。
こういう作品は、ハリウッドではなかなか出ないですね(^^ゞ
by non_0101 (2008-11-14 22:50) 

ken

後半はまさかの展開でしたよね~w
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-15 00:50) 

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