英国王給仕人に乾杯! [2008年 レビュー]
「英国王給仕人に乾杯!」(2007年・チェコ/スロバキア) 監督・脚本:イジー・メンツェル
とある罪で15年もの刑に服していたチェコ人のヤン。
すっかり初老の域に達していたヤンは、暮らし始めた山の中で一人の女性と出逢う。肉感的で魅力的な女性の出現に“欲望の目覚め”を悟ったヤンは若かりし頃を振り返る。彼の重要な記憶の一片には必ず女性の姿があった。
様々な人との出逢いで成長をするヤンだったが、やがてヒトラーのチェコ占領とともに時代の波に飲み込まれて行く…。
初老の男が若かりし頃のエピソードを振り返るという展開は、僕のような人生折り返した世代には胸迫るものがある。しかも観客の人生とシンクロするほど平凡じゃないから見世物として面白いし、方や過去の女性との記憶を刺激される側面もあって、人生経験が豊富な観客ほど愉しめる、と言っていいだろう。
また女性よりも男性向け。
作品の根底に流れているのは、男の欲求の肯定と、いかなるときも自分らしさを損なわない生き方のすすめ、である。
まず登場するすべての女性をポジティブに捉えているところがいい。それが“飾り窓”の女であろうと、ナチの親衛隊であろうと、すべての女性は男を幸福にしてくれる生き物、という主張が一貫していて良い。そしてすべての女性がヤンに優しい。男にとっては夢の極みだ。
もうひとつ。転職までもポジティブに描かれているところが気持ちいい。まるで“わらしべ長者”のようにステップアップしていく展開は古典中の古典だが、やはり面白い。
さて本作はチェコスロバキアの歴史を少しだけかじっておくと、さらに理解を深めることが出来る。
1920年にチェコスロバキア共和国として成立以来、スロバキア共和国の独立、チェコのドイツ編入、ソ連侵攻による社会主義共和国への改称、そしてチェコ共和国とスロバキア共和国に再分離するまで。中欧の小国と呼ばれたり、東欧に分類されたり、まさに時代に翻弄された国の背景を知ることで、名もなき青年の物語にリアリティと愛着が生まれると思う。
そうは言っても難しく考えなくていい。これは品の良いコメディでもあるからだ。
美しいチェコの女性を眺めるだけでも(男には)価値アリ。
とある罪で15年もの刑に服していたチェコ人のヤン。
すっかり初老の域に達していたヤンは、暮らし始めた山の中で一人の女性と出逢う。肉感的で魅力的な女性の出現に“欲望の目覚め”を悟ったヤンは若かりし頃を振り返る。彼の重要な記憶の一片には必ず女性の姿があった。
様々な人との出逢いで成長をするヤンだったが、やがてヒトラーのチェコ占領とともに時代の波に飲み込まれて行く…。
初老の男が若かりし頃のエピソードを振り返るという展開は、僕のような人生折り返した世代には胸迫るものがある。しかも観客の人生とシンクロするほど平凡じゃないから見世物として面白いし、方や過去の女性との記憶を刺激される側面もあって、人生経験が豊富な観客ほど愉しめる、と言っていいだろう。
また女性よりも男性向け。
作品の根底に流れているのは、男の欲求の肯定と、いかなるときも自分らしさを損なわない生き方のすすめ、である。
まず登場するすべての女性をポジティブに捉えているところがいい。それが“飾り窓”の女であろうと、ナチの親衛隊であろうと、すべての女性は男を幸福にしてくれる生き物、という主張が一貫していて良い。そしてすべての女性がヤンに優しい。男にとっては夢の極みだ。
もうひとつ。転職までもポジティブに描かれているところが気持ちいい。まるで“わらしべ長者”のようにステップアップしていく展開は古典中の古典だが、やはり面白い。
さて本作はチェコスロバキアの歴史を少しだけかじっておくと、さらに理解を深めることが出来る。
1920年にチェコスロバキア共和国として成立以来、スロバキア共和国の独立、チェコのドイツ編入、ソ連侵攻による社会主義共和国への改称、そしてチェコ共和国とスロバキア共和国に再分離するまで。中欧の小国と呼ばれたり、東欧に分類されたり、まさに時代に翻弄された国の背景を知ることで、名もなき青年の物語にリアリティと愛着が生まれると思う。
そうは言っても難しく考えなくていい。これは品の良いコメディでもあるからだ。
美しいチェコの女性を眺めるだけでも(男には)価値アリ。
レヴューを拝見して思ったのですが、女性も楽しめそうですよ。
観てみます。
by 江戸うっどスキー (2008-11-24 23:33)
ぜひぜひ!江戸うっどスキーさんのレビューを楽しみにしています。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-24 23:37)