SSブログ

ブルース・リーの生と死 [2008年 レビュー]

ブルース・リーの生と死」(1973年・香港) 監督:ウー・シン

 ブルース・リーの死後まもなく製作され、短期間香港で上映されたという幻のドキュメンタリー。
 内容は、香港とシアトルでの葬儀の模様を軸に、妻リンダや関係者のインタビューと秘蔵映像で彼の生涯を振り返るものになっている。

 映像作品としてはまったく観ていられません。撮影も編集もボロボロ。ブルース・リーの死がテーマでなければ観る価値なしの“ヘタレ”ドキュメンタリーです。しかし今から35年前。メディアがまだ未成熟だった時代に、このフィルムは重要な意味を持っていたと思います。
 一番は、
ブルース・リーの死にまつわる様々な噂を妻のリンダ自身が打ち消し「余計な詮索をしないで欲しい」と訴えたこと。僕はこのメッセージを発信することが本作のミッションだったんじゃないかと思いました。というのも、実はリーが昏倒した現場は「死亡遊戯」で共演する予定だった女優の自宅。その事実が本作になかったからです。
 「ブルース・リーはどこで最期を迎えたのか?」
 彼の生涯を執筆する作家にとって、これは重要な要素でしょう。しかし、リンダにとっては妙なウワサを呼ぶ要因の一つでしかありません。リーの死亡が確認されたのは搬送されたクイーン・エリザベス病院。リンダの意思を汲み取るなら「意識を失った場所」は全く必要のない情報になるのです。

 本作で公開された「死亡遊戯」の撮影済みフィルムも、当時の人々に衝撃を与えたことでしょう。
 今まで誰も見たことのないカラフルな黄色のボディスーツに身を包み、同じ色のヌンチャクを操るリー。さらに敵の一人として登場するのが身長218㎝のカリーム・アブドゥル・ジャバー。未完の作品を惜しむ声は相当上がったと思います。「このフィルムが公開される予定は今のところ無い」というナレーションも製作者たちの無念を訴えていました。

 ブルース・リーが生きていたら今年68歳。
 一体何本の映画に出ていただろうと思います。そしてどんな年の重ね方をしていたでしょうか。
 永遠のカンフースター。
 それにしても、ブルース・リーの映画を観るたびにヌンチャクを振り回したくなるのは、何故なんでしょう(笑)。

ブルース・リーの生と死 [DVD]

ブルース・リーの生と死 [DVD]

  • 出版社/メーカー: スパイク
  • メディア: DVD

nice!(3)  コメント(10)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 10

Sho

ものすごく懐かしくなって、WikiやYoutubeを見ました。
今見ても、圧倒的にかっこよくてひきつけられました。
そういえば謎につつまれている部分もあったっんだなあ・・と思い出しました。面白そうですねえ。
by Sho (2008-12-03 02:33) 

ken

僕たちの世代にはたまらないものがありますね。
間違いなく“すりこみ”だと思いますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-03 02:55) 

snorita

わたしゃーさすがにヌンチャクを振り回したくはならないですけど、でも、実はだーいすきです。
Don't Think. Feel!...

by snorita (2008-12-03 05:38) 

葵ママ

うちの子供達が小学生の頃、ジャッキー・チェンの映画を夢中になってみてました。そしたら旦那が「もっと面白いのがあるよ」とブルース・リーを見せちゃったんですね。それ以来、親子で取っ組み合いをする時には「アチョー」というかけ声が飛び交い、横浜中華街へ行けば、あの黄色い上下を二人してほしがる始末。

高二と中三になった現在でも、その上下はパジャマとして活躍しております。

私自身はリーが生きてる間も死後も、さして興味を抱いていないのですが、男の子ってのは格闘技ものとメタリックなブツが好きなタイプが多いように思います。上は超が付くほどの鉄道マニアですし、下は写真を一瞥しただけでアルファベットと数字からなる型番を瞬時に叫ぶ兵器マニアなんですよねぇ。
by 葵ママ (2008-12-03 08:13) 

ken

>snoritaさん
 「考えるな、感じろ」はどういうことなのか、真剣に考えましたねw
 nice!ありがとうございます。

>葵ママさん
 鉄チャンとミリタリーおたくですか。すごい兄弟ですねw
 でも男子ならどちらも一度は通る道。究めるのはいいことです。
 ジャッキー・チェン、僕も大好きですけど、結局ブルース・リーには
 なれないから、コメディ路線に走ったんだろうなあ、と未だにそう解釈してますw
 nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-03 10:44) 

大石五郎

はじめまして。
「ブルース・リーの生と死」で検索していたら此方へたどり着きました。

この作品は、ブルース・リーの突然死によって、急遽制作した映画で数週間の上映で終わっています。


この映画、確かにヘタレなのかも知れませんが、
貴重な写真や映像が収録されている点で
大変レア度が高い作品だと思います。
例えば所々入ってる空手のデモ映像は、本人が実際に所有し見ていた映像です。

また本人の肉声によるプロット解説は当時を知らない世代や、日本のように死後に存在を知った国のファンにとっては大変重要だと思います。
更に『燃えよドラゴン』のセットで延々と行なわれている
「エイシュン拳」のアクションは、『死亡遊戯』のテスト撮影の一部と云われており、現在、観られるのはこの作品内だけ。
ゴールデンハーベストのフィルムを管理している企業にも無いそうです。

そして「死亡遊戯」のシーンでは、
やはり現在の管理元には残ってない、サムソンカイとダンイノサントとの対決シーン。
韓国ハプキドーの達人チーハンサイとの対戦シーンでは、原版にハサミが入れられ、不完全な状態のモノがワンシーンだけ健康な状態で入っており、自力で死亡遊戯完全版を作りたいファンにとっては重要な映像です。
そしてフォトセッションだけで終わった作品「サイフォン」の、その写真が撮影順に大量に収録され、当時の動きが再現されている所などとても貴重で大きな見所だと思います。

ですが管理人さんのレビューと同じように、制作者のレイモンドチョウ社長は作品の出来に不満があり、「作り直したい」と日本のマスコミに語ってました。

それから十年後に出来たのが『ブルース・リーの神話』でした。
日本では1987年の東京国際ファンタスティック映画祭で上映され、その後国内でもビデオ販売されています。
現在は「ブルース・リー神話」というタイトルになっています。
こちらは編集違いの2バージョンがあり、特に最初に作られたバージョンには死亡遊戯の未使用場面が多数収録され、ファン間でも高い評判を得ています。
もし宜しければ、この映画もご覧下さい。
by 大石五郎 (2009-09-18 21:12) 

ken

大石さん、ようこそ。
「ブルース・リー神話」というタイトルは知りませんでした。
ブルース・リー亡き後、名前だけで儲けようとした関連作品(しかもヘタレ)が
たくさんあったので、僕自身懐疑的になっていたことは否めません。
いつか観てみたいと思います。

by ken (2009-09-19 13:17) 

大石五郎

youtubeに『ブルース・リーの神話』のレアな箇所がアップされてました。
どうです?
これなら大丈夫だと思います。
ぜひご覧下さい。
①オープニング※(ただし映像は日本未公開の初期バージョン)。
<object width="425" height="344"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/fa9kaRCPfaA&hl=ja&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/fa9kaRCPfaA&hl=ja&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="425" height="344"></embed></object>
香港公開版「死亡遊戯」予告編に使われているアレンジテーマ曲。
日本での公開時は、このオープニングで観客は大興奮でした。

②上映中、場内の観客がドヨめいた場面。
<object width="425" height="344"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/J6idu-YQWxk&hl=ja&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/J6idu-YQWxk&hl=ja&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="425" height="344"></embed></object>

③エンティング~当時のジャッキー作品に習ってNG集。
これにも観客はドヨめきました。
※(ただし映像は日本未公開の初期バージョン)。
<object width="425" height="344"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/J6idu-YQWxk&hl=ja&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/J6idu-YQWxk&hl=ja&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="425" height="344"></embed></object>
by 大石五郎 (2009-10-01 18:28) 

大石五郎

すいません。
動画アップは出来ない設定になってるんですね。
消したいのですが無理なので、URLだけ貼っておきます。
ご迷惑をおかけしました。

①「ブルース・リーの神話」予告編。
この映画は本家ゴールデンハーベストが制作。
まさに生まれ変わった「~生と死」です。
カンヌ映画祭へ出品されたそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=EH12Fx2XqjQ&feature=related

②オープニング※(ただし映像は日本未公開の初期バージョン)。
http://www.youtube.com/watch?v=fa9kaRCPfaA&feature=related

③上映中、場内の観客がドヨめいた場面。
http://www.youtube.com/watch?v=J6idu-YQWxk&feature=related

④エンティング~当時のジャッキー作品に習ってNG集。
これにも観客はドヨめきました。
※日本公開版(但しこの映像では無理やり広東語になってます)。
http://www.youtube.com/watch?v=zws0jEmApUY&feature=related
※(日本未公開の初期バージョン)。
http://www.youtube.com/watch?v=mwpFSlwjBHQ&feature=related

⑤これは余談。
ファンならご存知の木曜スペシャル「ブルース・リーの世界」です。
ビデオもってたらごめんなさい。
http://www.youtube.com/watch?v=kvZ1Hxc_RNc
http://www.youtube.com/watch?v=7Dbb70GdRKU&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=17YzFSByxtg&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=oJfmfRRe2j8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=g-lAaTOH7vo&feature=related
by 大石五郎 (2009-10-01 18:45) 

ken

いろいろと情報をありがとうございました!
by ken (2009-10-04 21:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。