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リアリズムの宿 [2008年 レビュー]

リアリズムの宿」(2003年・日本) 監督・脚本:山下敦弘 脚本:向井康介

 山下敦弘の「リンダ リンダ リンダ」以前。つげ義春原作作品。
 駆け出しの映画監督と脚本家が共通の友人である俳優に誘われ旅に出るが、待ち合わせ場所に間を取り持つ俳優が来ない。やむなく顔見知り程度の2人で旅をすることになってしまった…。

 何も知らずに観ると上記の設定がなかなか分からない。確かに「気まずい2人」を描ければいいわけだから設定はさして重要でないものの、知って観るか知らずに観るかで理解度は微妙に違ってくるだろう。
 映画は作り手の人生が大きく反映されるものだ。人間的に未熟な登場人物の2人があり得ない出来事に遭遇しながら、それぞれの引出しに“経験”を増やして行く。その道程だと思って観れば間違いなく面白い。
 旅の途中で起きる出来事は、まるでコントのように突拍子もない。宿の主がとぼけた外国人だったり、定食屋の店員が際限なく横柄だったり。言うなれば「小ネタ集」のような脚本で、それらが観客も身に覚えがあるようなエピソードであるところがいい。描かれているエピソードとまったく同じでなくても、似たような経験をしたことがいくつかあるはずだ。だから決して派手なエピソードはなく、すべてが地味極まりない。それがこの映画の“味”である。

 主演の2人も地味だ。
 長塚圭史はまだしも、山本浩司って。主演はこれが最初で最後なんじゃないか(笑)。
 正体不明の役どころで尾野真千子が出ている。可愛い。可愛いんだけどオーラを感じさせないところがこの女優の凄さだと思った。意外とどこにでもいそうな感じは、長い目で見たとき女優として得かも知れない。彼女のラストショットの可愛らしさは絶妙。ファンは観る価値アリだ。

 この作品はひとことで言うなら、人の価値観を笑うもの。
 どこが笑えてどこが笑えないのか、そんなに親しくない人と観ると、相手を深く知るきっかけになるかも(笑)。

リアリズムの宿 [DVD]

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