レーサー [2008年 レビュー]
「レーサー」(1969年・アメリカ) 監督:ジェームズ・ゴールドストーン
日本では「明日に向かって撃て!」の4ヶ月前、1969年10月に公開された作品。
個人的にモータースポーツが大好きなので(だから先週のHONDA、F1撤退のニュースは心が痛んだ)、いわゆる葉巻型のインディマシンが疾走する映画と聞いただけで観てみたかった1本。
レーサーのフランク(ポール・ニューマン)はある夜、バツイチ子持ちのエローラ(ジョアン・ウッドワード)と出会う。互いに惹かれた2人はやがて結婚をするが、フランクは何事においてもプライベートよりレースを優先した。そんな中、インディ500マイルレース直前フランクは、チームメートでありライバルのアーディング(ロバート・ワグナー)とエローラの浮気現場を目撃してしまう…。
残念ながら凡作。
ニューマンを哀愁のヒーローに仕立て上げようとする映画会社の企みがミエミエでいささか閉口する。しかもニューマン自身が製作に名前を連ねているから、「これじゃトム・クルーズと変わらないじゃないか」と思ったが最後、気持ちが離れてしまい二度とストーリーに戻れない(笑)。
そんな作品だからニューマンを語るときに名前の挙がらないタイトルなのだけれど、彼のプロフィール上では欠かせない1本。というのもニューマンはこの作品のためにレーシングスクールに通い、結果モータースポーツに熱中するようになるからだ。
それにしても、どうしてニューマンの相手役がバツイチ子持ちでなきゃならないのか、その設定がどうにも腑に落ちなかった。もっと若くていい女を使えば作品のタッチは違うものになっていたはず。と思っていたらジョアン・ウッドワードはニューマンのホントの奥さんだった。あちゃー。そんなところもトム・クルーズっぽくてちょっとゲンナリ。
クライマックスのインディ500マイルレースのシーンは実際の映像とオリジナル映像を混ぜ合わせ、うまく編集していたと思う。撮影上の一番のネックはスタンドにエキストラを用意できなかったところだろう。満員にするため必要な人員は40万人。今ならCG処理が施せても当時は無理。ここはカメラをローアングルにしたり、エキストラで壁を作って背景にスタンドが入らないようにしたりと、苦心のあとが見て取れる。
唯一気に入ったのは、チームのマシンもレーサーも所詮はオーナーの所有物、というシニカルな描写だ。この一連を観ていて僕は「赤いペガサス」(村上もとか著)というマンガを思い出した。この作品は日系F1ドライバーを主人公にしたドラマだが、設定がとにかくリアルで本当によく出来た作品だった。こんな脚本なら間違いなく面白い作品になるのに。
歴史を振り返れば、のちに「タワーリング・インフェルノ」で共演するスティーブ・マックイーンも71年に「栄光のル・マン」をプロデュース、主演しているけれど、当時はモータースポーツも活況で、アメリカのBIG3も元気で、まさか今のような時代が来るなんて思ってなかっただろうな。モータースポーツファンとしては本当に残念な世の中になったもんだ。
日本では「明日に向かって撃て!」の4ヶ月前、1969年10月に公開された作品。
個人的にモータースポーツが大好きなので(だから先週のHONDA、F1撤退のニュースは心が痛んだ)、いわゆる葉巻型のインディマシンが疾走する映画と聞いただけで観てみたかった1本。
レーサーのフランク(ポール・ニューマン)はある夜、バツイチ子持ちのエローラ(ジョアン・ウッドワード)と出会う。互いに惹かれた2人はやがて結婚をするが、フランクは何事においてもプライベートよりレースを優先した。そんな中、インディ500マイルレース直前フランクは、チームメートでありライバルのアーディング(ロバート・ワグナー)とエローラの浮気現場を目撃してしまう…。
残念ながら凡作。
ニューマンを哀愁のヒーローに仕立て上げようとする映画会社の企みがミエミエでいささか閉口する。しかもニューマン自身が製作に名前を連ねているから、「これじゃトム・クルーズと変わらないじゃないか」と思ったが最後、気持ちが離れてしまい二度とストーリーに戻れない(笑)。
そんな作品だからニューマンを語るときに名前の挙がらないタイトルなのだけれど、彼のプロフィール上では欠かせない1本。というのもニューマンはこの作品のためにレーシングスクールに通い、結果モータースポーツに熱中するようになるからだ。
それにしても、どうしてニューマンの相手役がバツイチ子持ちでなきゃならないのか、その設定がどうにも腑に落ちなかった。もっと若くていい女を使えば作品のタッチは違うものになっていたはず。と思っていたらジョアン・ウッドワードはニューマンのホントの奥さんだった。あちゃー。そんなところもトム・クルーズっぽくてちょっとゲンナリ。
クライマックスのインディ500マイルレースのシーンは実際の映像とオリジナル映像を混ぜ合わせ、うまく編集していたと思う。撮影上の一番のネックはスタンドにエキストラを用意できなかったところだろう。満員にするため必要な人員は40万人。今ならCG処理が施せても当時は無理。ここはカメラをローアングルにしたり、エキストラで壁を作って背景にスタンドが入らないようにしたりと、苦心のあとが見て取れる。
唯一気に入ったのは、チームのマシンもレーサーも所詮はオーナーの所有物、というシニカルな描写だ。この一連を観ていて僕は「赤いペガサス」(村上もとか著)というマンガを思い出した。この作品は日系F1ドライバーを主人公にしたドラマだが、設定がとにかくリアルで本当によく出来た作品だった。こんな脚本なら間違いなく面白い作品になるのに。
歴史を振り返れば、のちに「タワーリング・インフェルノ」で共演するスティーブ・マックイーンも71年に「栄光のル・マン」をプロデュース、主演しているけれど、当時はモータースポーツも活況で、アメリカのBIG3も元気で、まさか今のような時代が来るなんて思ってなかっただろうな。モータースポーツファンとしては本当に残念な世の中になったもんだ。
「赤いペガサス」!良かったですねえ。以前全巻持ってました。
村上もとかさんのマンガは大好きでした。
「熱風の虎」や「ドロファイター」も良かったです。
でもやっぱり「赤いペガサス」が一番!
最近はモータースポーツ系は描かれないようですけど。
すいません、映画と関係ない話で・・・
by 脳外科医 (2008-12-08 12:10)
僕はこの文庫版を数年前に買い直して、今も持っています。
「熱風の虎」もサイドカーレースというマニアックな設定でしたが
面白かったですよねえw
by ken (2008-12-08 12:40)