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トリスタンとイゾルテ [2008年 レビュー]

トリスタンとイゾルデ」(2006年・アメリカ) 監督:ケヴィン・レイノルズ

 トリスタンとはイングランドの若き騎士。イゾルデとは敵対するアイルランド王の娘。
 知りませんでしたが、これは中世の宮廷詩人たちが語り継ぎ、12世紀のフランスで物語としてまとめられ、シェイクスピアが「ロミオとジュリエット」を書くきっかけとなった物語だそうです。
 …ま、そんな背景を持つ映画ですから、これ以上の説明は不要でしょう?(笑)
 あ、一応「グラディエーター」のリドリー・スコットが製作総指揮を務めてます。

 主人公のトリスタンを演じるのは、「スパイダーマン」でピーターの親友ハリー役を演じていたジェームス・フランコ。
 皆さんご存知だと思いますが、かなりの男前です。クリクリパーマヘアが時にものすごく可愛らしく見えたりして、まるで小椋冬美のマンガに出てくる男の子のよう。ただしストーリーは少女マンガみたいにオブラートに包まれてません。どちらかというと東海テレビの昼ドラ的展開をします(笑)。この辺りがなんとも「安い」カンジがするんですよねえ。
 安くカンジさせてしまうのはイゾルデがイングランドにやってきてからのエピソードとその描き方。
 2人の秘密を周囲が知る辺りは特に演出がベタ過ぎて、それが「毎回分かりやすくあおって終わらせろ!」と言った昼ドラ演出に見えるんですね。
 ただ実際にはそれだけじゃなく、僕はジェームス・フランコにも問題があると思います。
 彼は一瞬にして悪人顔にもなれる人で(だから「スパイダーマン」の悪役にも起用されたんだと思うんだけど)、悪い意味で裏表のある人間に見えちゃうんです。すると観客は「もしかして良からぬこと考えてるんじゃないか?」と疑心暗鬼になっちゃって、100%応援してあげる気になれない。アナキン・スカイウォーカー役ならそれでもいいけど(笑)、本作では完全に逆効果。冗談抜きでトビー・マグワイアなら巧く演じられただろなと思います。騎士役には向いてないけど。

 イゾルデを演じたのは無名のソフィア・マイルズ。
 いや悪くないんですけどね、でもこの娘がもう少し可愛けりゃ男衆はグッと来たと思います。イゾルデがいい女であればあるほど、トリスタンに感情移入が出来たはず。だって本当に不遇だもん。「好きでもない男に抱かれる女」って、男衆にはたまならない設定なんですよ。やっぱりキャスティングこそ最大の演出だなと再確認した次第です。

 さてどこで撮影が行われたのか知りませんが、アイルランドとして映し出された風景が特に美しかった。騙されたつもりで一度行ってみたいなと思いました。今なら死ぬほど寒いだろうけどね。

トリスタンとイゾルデ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD

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コメント 13

rosemary

そーなんですよねー。なんだか安いカンジがするんですよねー。
どうしてなんだろうと思いながら観ました。
kenさんの解説でちょっと納得できた気がします。
by rosemary (2008-12-20 14:52) 

ken

アップまもないコメントありがとうございます。
僕はアップしたあと、加筆する性質なので、ちょっと内容が変わってます。
スイマセンw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-20 15:15) 

ばくはつごろう

これオペラでみるとすっげぇー長いの。
ケツが痛くなっちゃう。

映画であるなんて初めて知りました。
by ばくはつごろう (2008-12-20 22:45) 

ken

オペラ、あるらしいですねえ。
観る機会なんて、ないだろうなあ。
長いのヤダ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-20 23:06) 

ミホ

オペラを常々見てみたいと思っていたのですが、映画があるんですね。
ところで、小椋冬美のマンガわたしも好きでした。マンガっぽくないところが気に入って良く読みました。(って、変な所に食いついてスミマセン(笑))
by ミホ (2008-12-20 23:52) 

ken

僕は小椋冬美のマンガが大好きで、単行本も何冊も持ってたんですよねえ。
「Micky」なんてまた読みたいわあw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-21 00:04) 

葵ママ

私も映画があるなんて知りませんでした。ただ、原作は岩波文庫で昔読んだ事がありまして、今でも私の蔵書コーナーに並んでいます。この記事を読んで、何年ぶりかで取り出しました。

あれはなんというか・・・いかにも中世的なメルヘンなんですよね。「源氏物語」の方が、よほど現代劇に近いくらいで。この、ある意味荒唐無稽かつ現実離れした物語をどう映画化するか・・・これは興味がわきますね。岩波の「トリスタン・イズー物語」を読み終えたら、DVDレンタルしてみます。
by 葵ママ (2008-12-22 08:26) 

ken

原作を読んだ方にこの作品がどう映るのか楽しみです!
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-22 10:46) 

カオリ

少し前にワタシも観ましたが・・・、脱力してしまいました。原作の昔話風の素朴さがなくなってしまい(学生時代に原作読みました)、まさに「東海テレビの昼ドラ」でしたね。
by カオリ (2008-12-22 17:47) 

ken

やっぱり!w
脚本が良くないからあんなキャスティングになっちゃったんだろうなあ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-22 18:01) 

葵ママ

随分と時間がたってしまいましたが、「トリスタンとイゾルデ」の感想をアップしました。すんごく長いので、お暇な時に要らして下さいませ。あと、初めての試みとしてこの記事のトラックバックを送信させてもらいましたが、よろしかったでしょうか?って、あれれ。まだ反映されてない。時間がかかるのかしらん。
by 葵ママ (2009-03-03 17:12) 

葵ママ

あ、「いらして下さいませ」の間違いですぅ(笑)
by 葵ママ (2009-03-03 17:13) 

ken

のちほどお邪魔いたしますw
トラックバックは、承認システムにしているので、これから承認させて頂きますw
by ken (2009-03-03 22:28) 

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