モンキーフィスト/猿拳(1979年・香港) [2011年 レビュー]
原題:雑家小子/KNOCKABOUT 監督:サモ・ハン・キンポー
ユン・ピョウ初主演作。
日本での公開はジャッキー・チェンの「酔拳」(1979年7月)、「蛇拳」(1979年12月)、に続いて1980年1月。僕は公開当時に観て、ジャッキー作品とは一味違ったプロットが気に入り、32年間「もう一度観たい!」と思い続けていた懐かしい1本。今日、浜松町のとある書店のDVDコーナーに並んでいるのを偶然見つけて即買い。
レイ(ユン・ピョウ)とマー(レオン・カーヤン)はちょっとマヌケな詐欺師。
ある日、2人でまんまと質屋をだまし、あぶく銭を手に入れたまでは良かったが、その金を謎の男(サモ・ハン・キンポー)に横取りされる始末。食事も住まいにも困っていた2人は、食堂で出会ったカンフーの達人に弟子入りを志願する。ところがこの男は“古ダヌキ”と呼ばれるお尋ね者だった…。
ジャッキー・チェンの「酔拳」などに見られる【主人公×師匠×仇敵】という三角関係は、様々なジャンルの作品で採用されて来た“鉄板”プロットである。中でも「選手とコーチ」という図式が明確なスポーツドラマは、多くの作品でこのプロットが使われている。「ロッキー」や「ベスト・キッド」はその代表作だ。
本作「モンキーフィスト/猿拳」でも、【主人公×師匠×仇敵】という三角関係は採用されているが、「酔拳」「蛇拳」とは大きく異なる点が2つある。
まずは主人公レイは単独行動ではなく、相棒を持つ設定であること。
詐欺師で相棒と言えば「スティング」のニューマン×レッドフォードを思い出すが、タイプの違う2人がコンビを組むと、それだけでストーリーは転がせるのがいい。
もうひとつは、最初の師匠がのちに仇敵となり、レイは新たな師匠の元で腕を磨くという点である。
当時の僕が気に入ったのは、この「かつての師匠との対決」という捻りの効いたプロットで、しかもかつての師と対決することになる理由が、相棒を殺されてしまうという意表を突いた展開だったことも大きい。序盤はサモ・ハン得意のコメディ展開だっただけに、その衝撃はなかなかのものだった。
ちょうど昨夜、僕はブルーレイで発売された「スター・ウォーズ」の新3部作を観終えたところで、「かつての師との対決」という図式は、ルーカスも採用したプロットだったかと驚いてしまった。
当時22歳だったユン・ピョウの身体能力の高さも見もの。
特に新しい師匠の元でのトレーニングシーンは、ブルース・リーにもジャッキー・チェンにも真似出来ないだろうと思えるほど、素晴らしいポテンシャルを発揮している。カンフー映画ファン必見。
はじめまして。
すごく懐かしい映画ですね!自分も大好きな作品で修行シーンは何回も何回も観ました。その場での連続バク転は今でもどうやってんだろうと不思議に思ってます。
by roddy (2013-05-31 00:50)
roddyさん、ようこそ。
この映画を共有できて嬉しいです。カンフー映画全盛の頃の隠れた名作ですよね~。
by ken (2013-08-08 12:12)