ドラゴンロード(1981年・香港) [2011年 レビュー]
原題:龍少爺/DRAGON LOAD 監督・脚本:ジャッキー・チェン 脚本:バリー・ウォン
ジャッキー監督&主演作品で唯一未見だった1本。
実を言うと僕は本作の存在を知らなくて、映画情報サイト「allcinema」でジャッキーのフィルモグラフィーを確認中、発見したときは本当に驚いた。まさかジャッキー監督作で未見の作品があったなんて、である。もっと驚いたのはallcinemaの解説の文面。そこにはこうあった。
「彼のさまざまなアイディア、エッセンス、アクションが目一杯に詰まった、数あるジャッキー作品群の中でもまさに集大成と呼ぶに相応しい傑作中の傑作である。必見!」
ここまで書かれて僕はさらに本作の存在を知らなかった自分を恥じた。
「これではカンフー映画マニアの風上にも置けない」
そこで僕は製作から30年目にしてようやく観たのだけれど、観たらさらに驚いた。
名家の御曹司ドラゴン(ジャッキー・チェン)は武術は得意だが、勉強は苦手な青年。
ある日、いつものように勉強をサボって、幼なじみのジム(マース)と遊んでいたとき、2人は裏切り者を追う謎の集団と出くわす。その集団は中国の国宝をあるルートから入手し、転売を企てる組織だった…。
本作にはジャッキーが見せ場として取り入れた2つのスポーツがある。
ひとつは蹴羽根(あるいは羽蹴)と呼ばれる中国の伝統的な遊びをサッカーのルールにはめたもの。もうひとつはラグビーボールを50人以上の4つのグループで奪い合うという競技。
いずれもジャッキーが参加し、かなりの時間を費やしているのだが、この競技が縦軸のストーリーとどう関係があるのか、僕にはまったく理解出来なかった。それどころかストーリーそのものも三流カンフー映画並みで観るに耐えないのである。
聞くところによると、本作には編集の異なる2バージョンが存在するのだと言う。
ラグビーのシーンを本編冒頭に置いた国際版(日本で公開されたのもコレ)と、ラグビーシーンをクライマックスにした香港・台湾・中国版である。これだけでもジャッキーの作品に対する迷いが見て取れる。エンディングの別バージョンなら良く聞く話だが、クライマックスの置き位置を変えた映画なんて聞いたことが無い。
僕に言わせればこの作品は「思いつきのアイディアを無理矢理閉じ込めた形にすらなっていない駄作」である。完全に期待して損した。
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