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バットマン リターンズ(1992年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:BATMAN RETURNS
監督:ティム・バートン
脚本:ダニエル・ウォーターズ

 ここまで来たらもう全部観直しますよ。凝り性だからね。
 2作目の悪役はペンギン(ダニー・デヴィート)で、キャットウーマン(ミシェル・ファイファー)も登場します。
 いやあ、本作は1作目以上にティム・バートン色が強くなった気がしますね。
 1作目はブルースの生い立ちなど最低限語るべきストーリーがあったのと、やはり初の実写映画化ということで、多少一般ウケしやすいよう作ったんでしょう。2作目を観たら完全にそう思いました。
 ペンギンはティム・バートン好みのキャラクターだったろうし、1作目がヒットしたおかげで、いろんなことがやり易くなったんでしょうね。で、バットマンを自分の世界観の中にズルズルと引きずり込んでやった。そんな気がします。

 ただ面白かったかと言われると、個人的にはあまり面白くなかった。
 理由は2つあります。
 まず脚本。バットマンとペンギン、そしてキャットウーマンに共通する「人間の2面性」がテーマになっているものの、それがうまく書けていないこと。
 もうひとつはペンギンとキャットウーマンに入れ込めなかったこと。
 ダニー・デヴィートは好きな俳優なんだけど、メイクアップがとにかく気色悪かった(笑)。ミシェル・ファーファーは完全に好みの問題で、個人的にタイプじゃないんですよねぇ。のちにスピンオフされた際のハル・ベリーだったら印象は随分違ったと思いますけど(そういえば「キャットウーマン」は死ぬほどつまらなかったなぁ)。

 といろいろ不満を感じながら観ていたら、何のために続編を作ったのかすら分からなくなりました。
 もちろん一番は「金になるから」ですけど、では“大義”はなんだと。
 実はそれが「バットマンの2面性」だったんだと思うんです。1作目では描き切れていない「人間の表裏」こそが本作で描くべき最大のテーマであったはずなのに、どうも脚本が上手くない。
 原案と脚本を担当したのはダニエル・ウォーターズなんですが、そもそもどうしてこの人に仕事を頼んだのかが分からない。だってこの人は本作の2年前にブルース・ウィリス主演の大失敗作「ハドソン・ホーク」を手掛けた程度のキャリアしかないんですよ。しかも本作のあと15年ほどは映画の仕事すらしてない(笑)。
 言いたくないですけど「ダークナイト」のあとに観ちゃうと「ペラッペラに薄い映画だなあ」と思ってしまいました。

 もうこれを最後に観直すことはないかも(笑)。

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バットマン(1989年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:BATMAN
監督:ティム・バートン
脚本:サム・ハム、ウォーレン・スカーレン

 巷で「ダークナイト ライジング」が賑わっている中、いまティム・バートン版を観るとどうなんだろうと思って、数年ぶりに観てみました。
 と、本題に入る前にちょっと思い出話。

 僕はこの作品もジャパン・プレミアで観ています。会場は確か今はなき渋谷パンテオンだったと思う(業界的に言うとロケバス集合のメッカだった場所。それもまた懐かしい)。
 その日、渋谷駅を降りてパンテオンへ向かっていたら、渋谷東急文化会館の壁に巨大なバットマンマークの看板が貼ってあって、そのあまりの大きさに驚いた記憶があります。僕は「ワーナー・ブラザース、さすがにチカラ入ってるなあ」と思いながら信号を渡り、劇場に入って人の多さにまた驚き、本編を観てさらに驚いた。何に驚いたって
バットマンが黒すぎるのと、ジョーカーが白すぎること(笑)。だってそれまで観たことのあった実写版バットマンはこれだったんですよ。

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ダークナイト ライジング(2012年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:THE DARK KNIGHT RISES
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン

 7月20日にコロラド州オーロラで発生した無差別殺人事件を受け、7月25日のジャパンプレミアで登壇予定だった監督以下スタッフとアン・ハサウェイは急遽来日を中止。しかしジャパンプレミアは行われた。
 東京国際フォーラム、ホールA。観客全員の手荷物検査と金属探知機による身体検査のおかげで物々しいイベントとなり、それはさながら「邪悪なものが蘇ったゴッサム」のような景色でもあった。
 会場はほぼ満席だったと思う。そして着席した約5,000人の観客はこの日、何某かの期待を胸に開演時間を待っていたはずだ。少なくとも僕は大いなる期待を抱いて12列の63番に身体を預けていた。

 上映時間の2時間44分は至高の時間だった。
 これは僕が考える「映画芸術の理想型」である。
 なぜなら「観客の期待を裏切ることで期待に応える」という、まるで西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」のような作品だったからだ。
 また一方では「観客の期待しないところで、潜在的な期待に応える」というサプライズまであって、本作は「あらゆる欲求を満たす理想的な構造」をしていたと思う。
 恐るべしクリストファー・ノーラン。
 中でも僕は彼の仕掛けた「ミスリード」のテクニックに眩暈がしそうだった。

 地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)の死の罪を被りバットマンが姿を消した8年後。ゴッサムにマスクを付けたテロリスト、ベイン(トム・ハーディ)が現れる。街は次々と破壊され無法地帯と化す中、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)は再びマスクを付ける決意をする。しかしブルースの肉体は過去の戦いですでに満身創痍になっていた…。

 僕はジャパンプレミアに備えて、シリーズ1作目と2作目の復習をした。
 実を言うと1作目「バットマン ビギンズ」は「そんなに面白いと思わなかった」という記憶から、一度も観直したことが無かったのだけれど、今回その印象はまったく変わっていた。特に序盤の40分はゾクゾクするほど面白かった。
 それは僕が2作目「ダークナイト」の展開を知っているからだ。
 「他人の罪を被ってまで自分の街を守ろうとするブルースの信念は一体どこから来るのか」

 この答えが1作目の序盤40分にあるのだ。
 幼い頃、両親を殺害されたブルースは犯罪者に身を落としてまで「悪」を知ろうとしていた。そして「悪と闘うためには超然的な存在になる必要がある」とヘンリー・デュカード(リーアム・ニーソン)に説かれ、ブルースは“影の同盟”と合流する。その先にあった答えは、次のセリフに集約されていたと思う。助けたレイチェル(ケイティ・ホームズ)に名前を聞かれたバットマンは名乗ることなく、こう答える。

 It's not who I am underneath but what I do defines me.
 人の心は分からない。でも本性は行動に出る。

 これはレイチェルのセリフを引用したバットマンのセリフだが、ダークナイト3部作の極めて重要なテーマを端的に表した言葉だ。つまり「バットマン ビギンズ」の序盤40分こそが、「ダークナイト ライジング」に直結しているのである。
 本分に入る。
 ミスリードが仕掛けられているのは本作だけではない。シリーズを通して仕掛けられているものもある。たとえば前シリーズとの差別化。「トータルコンセプトそのものもがミスリードだったか」と驚かされる展開が本編のラストにある。これ以上はネタバレになるので書けないが、他に僕が認識したミスリードは2つあった。思わず「お」と声を出してしまうほど、僕はあらぬ方向にリードされていた。そのひとつは予告編からすでに行われていたのだ。素晴らしく周到な仕事である。

 映像のチカラも凄まじい。
 「ダークナイト」をブルーレイでおさらいしたとき、メイキングも合わせて観たのだけれど、そこで初めて「原則CGには頼らない」監督だったことを知った。
 本編で言うと冒頭、(予告編にも使用された)小型ジェット機を空中で破壊するシーン。明らかに実写としか思えないクリアな映像に多くの観客が驚くと思う。しかもIMAXカメラで撮っているせいもあって、その美しさはケタ違いだ。
 美しいと言えばアン・ハサウェイ。なんとゴージャスなキャット・ウーマン。なんと見事なボディスーツ。そしてバッド・ポッドに乗るポーズがなんとそそることか。彼女のおかげで本作は「女性のいい匂いがする映画」になったように思う。言い換えれば「アンが登場するだけで五感が満たされる映画」ということ。少なくとも過去2作にそれはなかった。
 キャット・ウーマンの登場はある種「観客の期待に応えた」一例である。 

 そして、やはり賞賛すべきはクリストファー・ノーランのストーリーテラーとしての才能である。
 哲学的な言葉のチョイス。息をもつかせない展開のハンドリング。期待を裏切るセンス。あるいは裏切らないサービス精神。これらをミックスし、バランスを取る仕事は並大抵の力じゃない。
 感動的なラストカットのあと、ホールAには拍手が巻き起こった。監督名がクレジットされると、そのボリュームはさらに大きくなった。約5,000人の観客の何某かの期待にクリストファー・ノーランが応えた証しだ。少なくとも僕は感動に打ち震えて言葉を見つけられずにいた。ただ「スゴイ」としか言えない自分が哀しくもあり、しかし言葉を失う感動とはこういうことかと、久しぶりの感覚に酔いしれてもいた。

 本作を観に行く前に必ず「BATMAN BIGINS」と「THE DARK KNIGHT」を観直して、3部作品としてトータルの完成度の高さを認識して欲しい。
 ヒーロー映画の最高傑作。

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スパイダーマン(2002年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:SPIDER-MAN
監督:サム・ライミ 
脚本:ドン・バージェス

 リブートされた新作を観たあとで、前作のレビューを読み直してみようと思ったら、シリーズ1作目だけなかった。僕が映画のレビューを書き始めたのは2004年。前作「スパイダーマン」の公開は2002年だった。と言うワケで久しぶりに観直してみて、レビューを書くことにした。

 オープニングタイトルからすぐさま思い出したのは、サウンドトラックがよく出来ていたと言うこと。
 音楽を担当したのは「ビッグ・フィッシュ」と「ミルク」でアカデミー作曲賞にノミネートされたことのあるダニー・エルフマン。ティム・バートン作品のほとんどを手掛けている作曲家でもある。つまり「スパイダーマン」の前に「バットマン」も引き受けていたというワケ。
 それはともかく、本作「スパイダーマン」のメインテーマは、一介の高校生だったピーター・パーカーの人生が大きく変化して行く様、その“うねり”を見事に表現した曲だった。シリーズ3本を通したメインテーマであるから耳に残っているのも事実だけれど、キャラクターと合致した曲であるからこそ耳にも残っているのだと思う。

 さて、MJ(キルスティン・ダンスト)に何の期待していない僕にとって、これはトビー・マグワイアとウィレム・デフォーの映画である。
 「ヒーロー映画は悪役が際立ってこそ面白い」は定説中の定説だが、すでに実力派俳優と呼べる域にいたトビー・マグワイアの繊細な演技と、こちらは怪演と呼ぶに相応しいウィレム・デフォーの楽しげな演技が、そのままスパイダーマンとゴブリンの対決にリンクしていて愉しい。
 特にウィレム・デフォーの見せ場は自宅の姿見の前で、オズボーンとゴブリンとして対峙する一人二役のシーンだ。怯えるオズボーンと脅すゴブリン。これをワンカットで演じてみせるのだから流石としか言いようが無い。ここはカルト映画でならしたサム・ライミらしい演出でもあり、本作を代表するシーンと言っていいだろう。

 ものすごく丁寧な脚本だったのも、いま観ると驚きだった。
 とにかく「中学生が観ても分かるもの」を目指したのかと思うほど、分かり易い言葉でセリフが書かれ、分かり易いシーン構成になっていて、観客に頭を使わせるようなシークエンスは皆無だったと思う。悪くいうと「ベタ」。けれど、初の実写映画化でもあり「原作を知らない客にも理解してもらおう」という思いは伝わって来た。善くも悪くも商業映画は分かり易いことが大事だ。だからヒットもしたのだろう。

 それにしてもトビー・マグワイアが本当に巧い。
 このシリーズはトビーをキャスティング出来た段階で成功は約束されたようなものだったのだ。そう思うと、MJと結婚をし、齢を重ねて行くスパイダーマンの様子も観たかったなと思わなくもない。ま、キルスティンに期待していないので、それほど強くも思わないのだけれど(笑)。

 新作を観る前に本作を復習しておくと、かなり楽しめる気がする。

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アメイジング・スパイダーマン(2012年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:THE AMAZING SPIDER-MAN
監督:マーク・ウェブ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルド、アルヴィン・サージェント、スティーヴ・クローヴス

 2002年からスタートした「スパイダーマン」の実写プロジェクトが2007年の「3」を持ってリセットされ、リブートされると聞いたときには驚いた。僕の世代からすると10年前はつい最近である。それでまた1から出直すなんて、と思ったけれど、いろいろ周辺を見渡すとSONYの事情も分からなくもなかった。

 一番は興行成績。
 ワールドワイドで見るとシリーズ1は8億2千万ドル、2は7億8千万ドル、3は8億9千万ドルと悪くないのだけれど、ドメスティックは見事な右肩下がりで、4億ドル、3億7千万ドル、3億3千万ドルと下降して行く。制作費は右肩上がりなのにだ。
 二番はクリストファー・ノーランの「ダークナイト」の存在。
 「スパイダーマン3」の翌2008年に公開され、ドメスティックだけで5億3千万ドル、ワールドワイドではなんと10億ドルを稼ぎ出した桁違いのアメコミ映画である。SONYは2011年に「スパイダーマン4」をラインナップしていたものの、2010年の段階でサム・ライミが降板したという情報もあり、「ダークナイト」が彼らに何かしらの影響を与えたのは間違いないだろう。
 三番はトビー・マグワイア。
 2008年の段階ではシリーズ4と5を同時に撮影する計画があって、トビー・マグワイアのギャラは2本合わせて5千万ドルという情報も流れていた(制作費高騰の原因のひとつ。ちなみに1の出演料は400万ドルだったとか)。
 と、これら3つの要素を勘案すると「監督も主演も外してリブートするのが得策」となるのは致し方ないと言うことだろう。結果、個人的には大賛成である。僕は主演女優がどうしても好きになれなかったので。

 さて1作目を再び作るとなるとハードルは高い。
 1)ピーター・パーカーはいかにしてスパイダーマンになったのか?
 2)ピーターとMJの関係は?
 3)スパイダーマンが最初に対決する相手は何者か?
 誰もが容易に想像するこの3大プロットをいかに処理するかで、作品の評価が決まってしまうからだ。

 結論から言うと「とても良く出来ていた」と思う。
 少なくとも僕は“ある1点”を除いて何の不満も無かったし、136分という尺に中だるみを感じることも無かった。それは良い意味で前シリーズの流れを引き継いでいないからだと思う。
 一番驚いたのは「MJを登場させない」という選択である。
 MJの代わりに登場するのはグウェン・ステイシー。原作ではピーターの最初の恋人として登場し、のちにグリーン・ゴブリンに殺される悲劇のキャラクターなのだが、そんなこと知ってようがいまいが“赤毛”じゃなくて“ブロンド”なのが良い。それでいてグウェンを演じるエマ・ストーンが薫り立つようなフェロモンを放っているのだから、キルスティン・ダンストをどうしても好きになれなかった客からすると文句なしである。彼女はアメコミヒロイン史上最強の女優と言っていいと思う。「(500)日のサマー」の監督だけあって、女の子を撮るのも巧くて良かった。
 
 もうひとつ重要な点は「スパイダーマンがマスクを脱ぐ回数が意外と多い」ということだ。
 マスクのままではなかなか感情移入し難いシークエンスで、今回のスパイダーマンは躊躇なくマスクを脱いでみせる。だからか今作のスパイダーマンは以前よりも血の通ったキャラクターに感じた。
 主演のアンドリュー・ガーフィールドはトビー・マグワイアほどのスターではないから、サービスでマスクを脱ぐ必要はないはずなのだ。ということは、この「顔出し」は監督の周到な計算と見ていいだろう。

 さて僕が不満を抱いた“ある1点”とは、手首からクモの糸を発射する装置のことだ。
 前作ではかなりあやふやに処理していたけれど、今回は何やら腕時計を改良したようなものを手首につけて、糸を発射する仕掛けにしたようなのだが、その説明が足りなくて、どういう仕掛けなのかが全く分からなかった。ここだけが最後まで気になってどうしようもなく(しかも最後にその仕掛けが意外と大事になる)、もう少し丁寧に説明してくれても良かったんじゃないかと思った。

 3Dについて。
 全編を通して3Dが効いているかというと意外とそうでもない。しかしこれは「必要なところとそうじゃないとところ」を考えた上で使い分けていたように思う。もちろんスパイダーマンのジャンプは見応えがあるけれど、今さら3D効果に驚くほどでもない。2Dでも充分に楽しめる。

 最後に。
 スパイダーマンの根底にあるテーマは「大いなる力には、大いなる責任が伴う」である。
 この精神は反古にされること無く、かと言って大げさにすることなく、さりげなく脚本に落とし込んであったと思う。ピーターの叔父と叔母を演じたのがマーティン・シーンとサリー・フィールドなのも往年の映画ファンには嬉しい。この味わいも僕は気に入っている。
 続編にも期待。

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大空に乾杯(1966年・日本) [2012年 レビュー]

監督:斎藤武一
脚本:白坂依志夫、中野顕彰

 吉永小百合が全日空の新人スチュワーデスとして登場する青春映画。
 この時代の日活映画に内容を求めるのは酷と知っているので、当時の風俗とロケーションを愉しむつもりで観ることにしました。あ、もちろん吉永小百合のコスプレが一番観たかったんですけど(笑)。

 新人研修を終え、スチュワーデスとしてデビューした滝村ゆり子(吉永小百合)は、機内で酸素欠乏症に陥った少年をとっさの機転で救う。その少年は財界の大物、立花啓佐衛門の孫で、立花に見初められたゆり子は、立花家の三男啓介を紹介され、縁談話にまで発展する。家柄の良さからゆり子の母(佐々木すみ江)は大乗り気だが、ゆり子は家の庭の手入れをしてくれている園芸大学の学生、北倉誠(浜田光夫)のことが気になっていた…。

 僕は吉永小百合×浜田光夫コンビの映画をほとんど観たことがないので、この1本もどう観ていいのか悩みました。そもそも吉永小百合と浜田光夫が釣り合っているとは昔から思えなかったし、では浜田光夫が吉永小百合の引き立て役なのかというと、浜田光夫だって充分二枚目ぶっている。オンタイムで観ていない僕にとっては、なんでこんなコンビの純愛路線映画がヒットしたのか、当時の客のニーズが僕にはまったく分かりません。
 しかし、この映画が公開された1966年は吉永×浜田コンビが大きな曲がり角を迎える年でした。
 7月、浜田光夫は名古屋市内のサパークラブで客の男2人に絡まれ、右眼球に電気スタンドの破片が刺さる大けがを負ってしまいます。失明は免れたものの照明や日差しに対しての抵抗力が低下。目の保護のために淡色のサングラスが欠かせなくなり、俳優としてイメージチェンジをせざるを得なかったのだそうです。
 つまり本作は、吉永×浜田コンビによる“純愛路線”晩年の作品として観ると、その価値も大きく変わって来るでしょう。

 それにしても全日空の協力体制がハンパじゃありません。
 全日空も吉永小百合の人気に便乗してイメージアップを図ろうとしたことは間違いなく、考えようによってはテレビコマーシャルよりも断然効果があったのではないかと思います。
 しかし、スチュワーデスという設定でありながら、これは「スチュワーデス物語」ではなく、年頃の女子の恋愛観を描いたもの。吉永小百合演じるゆり子のエピソードを縦軸に、2人の先輩スチュワーデス(一人は十朱幸代。めちゃカワユス)と一人の女子高生(和泉雅子!)の恋愛を横軸にしています。
 展開としてはゆり子が「お金持ちのボンボンよりも、逢うとケンカばかりしている誠のほうが好き」ということに気付いて以上終了なんですけど、まあ脚本(セリフも展開も)が強引すぎて、ここまで力技で押されると呆れるどころか笑っちゃいます。一番驚くのはゆり子が意外と嫌な女なんです。僕は「これで良いの?会社も本人も?!」と思いながら観てました。
 和泉雅子演じた女子高生ミチ子は本編のお笑い担当。僕が一番ウケたのはみち子に毒づくシーンのセリフ。
 「なんだあんなヤツ、威張ってる。吉永小百合に似てると思って」
 意表を突かれたので大笑いしてしまいました。

 個人的には東京あるいは羽田周辺のロケーションが一番見応えがありました。
 昔の東京って風情があったなあ。

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スノーホワイト(2012年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:SNOW WHITE AND HUNTSMAN
監督:ルパート・サンダーズ
脚本:エヴァン・ドーハティ、ジョン・リー・ハンコック、ホセイン・アミニ

 戦う白雪姫です。
 大して期待していなかったので、意外と楽しめました。
 そもそもこの作品をわざわざ劇場で観ようと思ったのは、TVスポットで観たあるVFXに興味を持ったからです。
 シャーリーズ・セロン演じる魔女ラヴェンナが身を翻した瞬間、無数のカラスとなって姿を消すというワンカット。ただこのワンカットが観たかった。でも実際に観たらスノーホワイトを演じたクリステン・スチュワートに見とれていました。「くだらない」とか何とか言いながら「トワイライト」シリーズを観ていたのも、どうやら僕はクリステン・スチュワートが好きだったからみたいです。ツンデレか!(笑)

 とある国のプリンセス、スノーホワイトは幼い頃、継母となったラヴェンナに父マグナス王を殺されてしまう。やがてラヴェンナに国を乗っ取られ、スノーホワイトは城の牢に7年も幽閉されてしまう。
 世界一の美貌が自慢だったラヴェンナはある日、魔法の鏡から「やがてあなたより美しい娘が現れます」と告げられる。それがスノーホワイトだった。ラヴェンナは魔法の鏡の言いつけで、スノーホワイトの心臓を食べようとするが、その直前にスノーホワイトは城を脱出。ラヴェンナの魔法が効かない闇の森へと逃げ込む…。

 「白雪姫」を知らない人はあまりいないと思いますが、一応原作を抑えて行った方がより楽しめると思います。と言うのも本作は「戦う白雪姫」と言いつつストーリーに大きな変化があるわけではなく、ファンタジー映画の枠を超えていません。となると原作のどこをどうアレンジしたのか。何を捨てて何を創造したのかを観るのが一番の見どころになる、というワケです。
 個人的に気に入ったのはディズニー版の「白雪姫」からのアレンジです。
 まずはスノーホワイトの衣裳。


snowwhite.jpg ショルダーのデザインに注目。

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 アニメと違って色味が現実的なので、当初はまったく気付かなかったのですが、途中でショルダーのデザインがアニメをモチーフにしたものだと気付き、衣裳デザインのセンスに感心しました。
 もうひとつは死んだ白雪姫が助かる経緯。アニメ版はご存知の通り、王子のキスによって息を吹き返すのですが、本編に王子は出て来ません。では…(ネタバレ自主規制)。ここはツボを外した演出が効いていて「なかなかやるな」と思いました。


 それにしてもシャーリーズ・セロンがスゴいです。
 若返ったり老け込んだり、その振り幅がハンパじゃなくて、女優としてよくぞここまでやったもんだと感心しました。当初はウィノナ・ライダーをキャスティングする案もあったようですがシャーリーズで正解。彼女の女優としての器の大きさを観た気がします。
 クリステン・スチュワートはときどき「なにその顔」ってカットがあって、これは監督とカメラマンに対して大クレームを出したい。なんたってファーストカットとラストカットの表情がイマイチだったので「もうちょっと可愛く撮らんかい!」と激しく思いました(笑)。
 ウケたのは猟師を演じたクリム・ヘムズワース。この人「俺様、神様、マイティ・ソー」です。この前はトンカチ持ってたのに、今度は斧持ってました。ゼッタイ狙ってキャスティングしたとしか思えない(笑)。

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 さて。そもそも観たかったVFXですが、全編を通してなかなかいい出来栄えだったと思います。映画館で観て良かった。ユナイテッドシネマの会員デーで1,000円だったし、アイドル映画だから大きい画面で観ないとね。
 「トワイライト」もまた観たくなって来たぞ。


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二十四の瞳(1954年・日本) [2012年 レビュー]

監督・脚色:木下恵介
原作:壷井栄

 あまり知られていませんが、今年2012年は木下恵介生誕100周年の年です。
 と言うワケで、いい機会なのでこれまで未見だった本作を観てみました。
 意外だったのは上映時間。よもや156分もあるとは思いませんでしたが、観ればなるほど1954年度キネマ旬報ベストテン第1位に相応しい作品だったと思います。ちなみに第3位は「七人の侍」ですから、その出来栄えは推して知るべしです。

 さて僕は本作を「香川県小豆島の分校を舞台した高峰秀子主演のドラマ」と認識していたのですが、ストーリーはちょっと意外な展開をしていました。
 そもそも1年2年の物語ではなく、昭和3年から終戦の翌年(昭和21年)に渡る「教員と教え子たちの師弟愛」を描いたもので、特に意外だったのは高峰秀子演じる“おなご先生”が一度教職を離れること。そして結婚し、3人の子を作り、やがて復職するという展開です。
 また描かれた年代を見れば、戦争というテーマから逃れられないことは容易に想像がつきますが、これが優れた「反戦映画」に仕上げられていて、GHQの実行支配から解放されたことで弾けた“日本の映画製作者たちの想いの塊”とでも言うべき作品になっています。

 おなご先生が教職を離れる理由は戦時教育の方針でした。
 太平洋戦争末期の昭和20年5月22日に公布された「戦時教育令」で「学徒は戦時に適切な用務に挺身すること」とされ、国家に対する最後の奉公を義務づけたわけです。おなご先生は教え子たちに「命を粗末にするな」を教えることで「アカ」呼ばわりされ、それに嫌気が差して教職を辞することになるのです。
 時代が変われば常識が非常識になり、非常識が常識になることの恐ろしさ。国が国の都合を優先して国民にこれ以上ない負担を強いる狂気。戦時中はその最たる例ですが、今も同じ状況にあると思うのは僕だけでしょうか。
 事実は歪められて国民に伝えられ、正しい教えや行いをするものを社会から抹殺しようとする事態は間違いなく今も続いています。日本人は先の大戦から何を学んだのだろうと思います。

 本作の中で悲劇に見舞われる子どもたちが何人かいます。しかしそれは戦時中だからとか、貧しいからとかではなく、国が国民を正しい方向へ導けなかった結果に過ぎません。同じ悲劇は今も起きています。僕は60年近く前に作られた本作を観ながら、「これは決して過去の出来事ではない」と背筋が凍る思いでした。

 良い意味で心に残るのは多くの唱歌が用いられていること。
 僕も子どもの頃に歌った記憶のある曲が多数で、皆と一緒に歌った心地よさが蘇り、あれはあれで子どもながらに幸福感を感じていたんだなと気付きました。

 テクニカルな点についてひとつだけ。
 劇中小学1年生だった12人の子どもたちが、やがて6年生になります。この子役たちが恐ろしいほど似ていて、僕は一瞬「まさか5年間空けて撮影したのだろうか」と思ったほどでした。
 wikiによると全国から良く似た兄弟姉妹を募集し、3600組7200人のオーディションをしたのだとか。当時としては異例とも言える規模のオーディションのおかげで、子役たちも作品の完成度に貢献しています。

 繰り返しますが今年は木下惠介監督生誕100周年。
 いい機会なので、一度ご覧になることをお勧めします。
 傑作。

二十四の瞳 デジタルリマスター2007 [DVD]

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X-MEN:ファイナル ディシジョン(2006年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:X-MEN:THE LAST STAND
監督:ブレット・ラトナー
脚本:ザック・ペン、サイモン・キンバーグ

 シリーズ見直しの最終回。
 ブライアン・シンガーが「スーパーマン リターンズ」を撮るため降板し、代わりに起用されたのが「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー。映画制作は多くのスタッフによる共同作業だが、ブライアンがいなくなっただけで作品のクオリティがここまで下がるのだから、本作は監督の存在がいかに大きいかを教えてくれる好例だ。
 シリーズのプロデューサーを務めたアヴィ・アラッド、ローレン・シュラー・ドナーたちにとってブライアンを逃がした事実は、出資者に言い訳の出来ない最大の失策である。…とまあスタッフィングのミス云々については前回のレビューで書くだけ書いたのでここまでにして、今回はきちんと内容について掘り下げてみる。

 時は20年前。チャールズ(プロフェッサーX)はエリック(マグニートー)を伴って一人の少女に逢いに来た。少女の名前はジーン・グレイ。見事な念動力を持つジーンは、しかし家族からは「病気」と言われて育っていた。チャールズはジーンの才能を評価し「恵まれし子らの学園」へと誘う。
 その10年後。とある大企業の社長ワージントンは息子の異変に気付く。思春期を迎えた息子の背中に羽根が生えたのだ。ワージントンは息子を普通の子どもに戻そうと、ある計画をスタートさせる。それがミュータント治療薬「キュア」の製造だった。
 そして現在。「キュア」が完成しミュータントたちは「人間になるか、ミュータントのままでいるか」という究極の選択を迫られる。

 まず冒頭で驚いたことは、20年前のチャールズが立って歩いていたこと。
 「ファースト・ジェネレーション」ではジェームズ・マカヴォイ演じるチャールズが半身不随になるいきさつを描いているのだから、これでブライアン・シンガーは自分が関わらなかった本作を「無かったもの」としたことが判明したわけだ(笑)。
 で、もうひとつ気になったのは、なぜ前作で死亡したジーンのエピソードを冒頭に配置したのかと言うこと。これはあとで「ジーンは死んでいなかった」という反則ワザを繰り出すための前フリなのだが、とにかく本作のプロットはファンとして納得のいかないことが多すぎるのだ。
 一番残念だったのは、シリーズを代表するキャラクターであるミスティークをあっけなく「キュア」の犠牲にしたこと。早いハナシがミスティークは途中でフツーの女子になってしまうのだ。その扱いもぞんざいでミスティークに対する愛情の欠片も感じられなかった。
 さらに驚いたのはプロフェッサーXを殺してしまったことだ。
 いや、これも「劇的なストーリーを構築するためにはこれしかない」という作り手の“覚悟”が見えればいい。ところがそんなものもは皆無である。その証しにエンドクレジットを最後まで観た人は知っているが、正真正銘のラストカットでチャールズの復活を匂わせるシーンを加えているのである。ということはプロフェッサーは、ただ観客を驚かせるために一旦殺されただけなのだ。なんという安直なプロットだろう。
 理解出来ないこともある。
 3作目の対立軸は基本「キュア」v.s.ミュータントである。そして「キュア」をきっかけにX-MENとブラザーフッドの対立もより激しくなる。
 さて問題はここだ。
 X-MENとブラザー・フッドは「人間との共存を望む、望まない」という理念の違いによって2極化したミュータントの集団である。マグニートー率いるブラザーフッドが「ミュータントを病人扱いし、その個性を無にしようとする人間に対して反乱を起こす」というロジックは納得出来る。しかしブラザーフッドとX-MENが戦う理由はまったく分からない。いくらX-MENが人間との共存を望んでも、人間は「キュア」を手に入れ、ミュータントを根絶しようとしているのだ。
 「では、X-MENは何を賭けてブラザーフッドと戦っているのか?」
 これが本作最大の謎にして、最大の矛盾であり、本作をワケの分からないものにしてしまった元凶である。
 
 ついでに理解出来なかった点をもうひとつ。
 「キュア」開発の源となったミュータントの少年リーチ。まるで「AKIRA」のタカシやキヨコが軟禁されていたような部屋にいた、この少年の意味は?まったく刈り取れていない気がしたのは僕だけか。僕がバカなのか?(笑)。

 久しぶりに観て驚いたこともあった。
 X-MENの新規メンバーに「juno/ジュノ」の主人公を演じたエレン・ペイジがいたこと。「juno」に出演する1年前だが、すでに不思議な魅力を湛えるキュートなミュータントを演じていて存在感はバツグン。

 シリーズ見直しはこれで終了。
 結論。「ファイナル ディシジョン」はブライアンにリメイクして欲しい。以上。

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X-MEN2(2003年・アメリカ) [2012年 レビュー]

原題:X2
監督:ブライアン・シンガー
脚本:マイケル・ドハティ、ダニエル・P・ハリス、ブライアン・シンガー

 「ファースト・ジェネレーション」に刺激されてシリーズ全作見直し中。
 「X-メン」がプロフェッサー対マグニートーという図式だったのに対し、この「X-MEN2」は人間対ミュータントという図式になっている。

 ホワイトハウスに一人のミュータントが侵入。大統領暗殺未遂事件が発生する。
 これを聞いたプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)は、ジーン(ファムケ・ヤンセン)とストーム(ハル・ベリー)に、犯人を確保するよう指令を出した。というのもプロフェッサーにはこれがマグニートーの仕業とは思えず、事の真相を知る必要があったからだ。
 同じ頃、大統領はミュータント対策本部顧問のウィリアム・ストライカー(ブライアン・コックス)から、「恵まれし子らの学園」の報告を受けていた。ミュータントの脅威を体験した大統領はストライカーに特別捜査の全権を与えるのだが、実は大統領暗殺未遂事件はミュータント絶滅を目論むストライカーの自作自演だった。はたしてその真意とは…?

 映像に目を奪われているとついストーリーを追いそびれてしまうのだけれど、本作のプロットも実に良く練られていたことが、今回改めて分かった(だからストーリーの説明にいつもより文字数を使った)。
 「X2」の対立軸はプロフェッサーとストライカーで、それはストライカーの一方的な逆恨みから派生している。ストライカーが事件の黒幕であることは割りと早い段階で明らかにされるのだが、これがちょっと遠回しな説明になっていて、大統領暗殺未遂事件の実行犯ナイトクロウラーの立ち位置を一瞬見失ってしまうのが残念。もちろん観客の理解力によって差はあると思うが、僕はナイトクロウラーの見事なテレポーテーションに目を奪われて、事件のウラまでは読み切れなかった。

 もしかして前回は字幕で観た影響もあったかも知れない。今回は吹き替え版で観たのだけれど、字幕に比べると言葉の数が圧倒的に豊富でドラマも理解し易かった。


 それにしてもマグニートーの映画である。
 プロフェッサーは今回途中で昏睡状態に陥るため、出番が少ない。かたやマグニートーはX-MENと協力してストライカーを倒そうとするのだから、主役は完全にマグニートーである。

 余談だけれど、マグニートーがX-MENと結託する理由を「かつての恋人を酷い目に遭わせたヤツはゼッタイに許さない!」と想像すると、本編はますます面白い。
 またアイスマンが家族に突然変異を告白するシーンは、ゲイのカミングアウトと同じ構図だったように思う。ありのままの自分を受け容れてくれない家族に対する失望は、ブライアンの心の片隅にある闇だったかも知れない。

 アクションシーンは全作より遥かに良い。ハル・ベリーが相変わらず美しい。

X-MEN2 [Blu-ray]

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