アダプテーション [2004年 レビュー]
「アダプテーション」(2002年・アメリカ) 監督:スパイク・ジョーンズ 脚本:チャーリー・カウフマン
しまった。
しまった。
この映画は「マルコビッチの穴」を観てからじゃないと、まったく面白くない。
脚本家が「書けない!」と悩んでいる様はおもしろいのだけれど、作品の構造を理解できないために疑問ばかりが先行し、ストーリーを把握しきれないまま終わるのだ。
ニューヨークの恋人 [2004年 レビュー]
「ニューヨークの恋人」(2001年・アメリカ) 主演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン
この映画の原題は「ケイト&レオポルド」。主演2人の名前を連ねただけです。
この映画の原題は「ケイト&レオポルド」。主演2人の名前を連ねただけです。
アメリカ映画のタイトルってこういうの決して少なくないんだけど、その良し悪しは判断しかねるね。ただ日本じゃありえないんだろうな。「おぎやはぎ」がタイトルになるようなもんだし。あと「ますだおかだ」とか(笑)。
個人的には「ケイト&レオポルド」のほうが、ヘタな先入観を持たずに観られる、という点で良いと思うんですけど。
僕は、タイムスリップをしてきた男が現代の女と恋におちる、なんてストーリーにまったく興味がなかった。
僕は、タイムスリップをしてきた男が現代の女と恋におちる、なんてストーリーにまったく興味がなかった。
ここ最近僕は「ありえないハナシ」に興味がなくて、それが例えメグ・ライアンの新作であっても「面白いと思わない映画でメグを観たくない」ってヘンな価値観が今日まであった。
けれど「メグ・ライアン」という素材を最後に頂いたのは「イン・ザ・カット」というメニューで、しかしどうもコイツの後味が悪く、しばらく口の中が気持ち悪かった。そこで食べたくもないデザートを注文する、という感覚で「ニューヨークの恋人」を手に取っちゃったわけです。
映画が始まって30分くらいかな。
「やっぱり面白くない」と思って途中で観るのをやめようかと思った。でもレオポルドがケイトに好意を抱き始めた頃から俄然面白くなった。それは「恋愛のはじまる瞬間」そのものが普遍的なドラマであって、仮にどんな設定であっても感情移入が容易であるからなんだな。なんといっても「恋の行方」を見届けたくなる。
「やっぱり面白くない」と思って途中で観るのをやめようかと思った。でもレオポルドがケイトに好意を抱き始めた頃から俄然面白くなった。それは「恋愛のはじまる瞬間」そのものが普遍的なドラマであって、仮にどんな設定であっても感情移入が容易であるからなんだな。なんといっても「恋の行方」を見届けたくなる。
メグの笑った顔は(年齢的に厳しくなってきたけれど)限りなくキュートだし、片思いが通じた瞬間の甘酸っぱい思いは、観る者をなんとも幸せな気持ちにしてくれる。
…ということを学習させてくれた映画でした。
ついでに、メグの弟役がいい味を出しています。食わず嫌いの方がいらしたら、ぜひ召し上がってみてください。
S.W.A.T. [2004年 レビュー]
「S.W.A.T.」(2003年・アメリカ) 主演:サミュレル・L・ジャクソン、コリン・ファレル
ロス市警の特殊部隊を題材にしたストーリー。
ロス市警の特殊部隊を題材にしたストーリー。
S.W.A.T.が国際指名手配犯を護送中、テレビカメラに向って「俺を逃がしたら1億ドル払う」と叫んだことから、街中がS.W.A.T.の敵になる!
という予告編をどこかの劇場で見た。すごいスターが出ているわけでもないし、ベタなアクション映画っぽいし、いままで観なかったけど青物横丁駅前のGEOでは昨年のレンタルランキングがベスト8だったらしい。あらま。
てなわけで、なーんの期待もしないで観てみたら、意外と面白いのが映画のいいところ(笑)。
予告編で謳われていた部分はもちろん映画の見どころでもあるんだけど、サミュエル演じるS.W.A.T.に復帰したリーダーが精鋭メンバーをスカウトするくだりなどがあり、そこは純粋に面白かった。
どうしてこれがベスト8なのかは理解できなかったけど、スカッとする映画を観たいときにはいいと思います。
どうしてこれがベスト8なのかは理解できなかったけど、スカッとする映画を観たいときにはいいと思います。
ティファニーで朝食を [2004年 レビュー]
「ティファニーで朝食を」(1961年・アメリカ) 監督:ブレイク・エドワース
オードリー32歳のときの映画なんですね、こいつは。
オードリー32歳のときの映画なんですね、こいつは。
実は初めて観ました(笑)。どうしてかというと、先日深夜番組で小田和正さんのライブをやっていて、その中で彼が「ムーンリバー」の話をしたのです。
音域の狭いオードリーのために簡単なコードで曲を書いた。誰でも歌えるから歌い継がれて今日まで来ている。といった内容。
そのときにオードリーが「ムーンリバー」を唄うシーンが挿入されて、このオードリーがとても美しく、「こりゃヤバイ」と思って今日観たワケ(笑)。
僕はオードリーの役柄を「泥棒」だとずいぶん前から誤認識していて、盗みに入ったティファニーでお宝を頂戴したあと、朝飯食ってドロンしたい!って夢みる女の話だと思ってた(それはそれで面白いかもね)。そう思いながら観たら、オープニングでビックリ。
タクシーでティファニー前まで乗りつけて、パンを食べながらコーヒーを飲むタイトルバック。
すごい直球で、すごいシンプル。ついでにこのタイトルバックがこの映画の最大の見どころかも、と全編観終わって思いました。
あとはネコ。まるで「ナメネコ」みたいになるシーン(捨てられてタクシーを見送るシーン)もありますが、こいつも名演技を見せてます。
それ以外は個人的にあまり面白いと思わなかったな。オードリーの役どころの設定が嫌いでした。スイマセン。
ちなみに監督のブレイク・エドワースは、この後に「ピンクパンサーシリーズ」を撮る人でした。じゃあ、泥棒の映画でも良かったじゃんねえ(笑)。
ジャームス・キャメロンの タイタニックの秘密 [2004年 レビュー]
「ジャームス・キャメロンの タイタニックの秘密」(2003年・アメリカ)
I-MAXシアター用に作られた3D作品を2Dで観る悲しさったらありませんわよ(笑)。
I-MAXシアター用に作られた3D作品を2Dで観る悲しさったらありませんわよ(笑)。
セルDVDは3Dとして発売されているはずなので、自宅にホームシアターのある人は、そちらがオススメかも。
ま、それはともかく。
ま、それはともかく。
これは、深海3,650メートルに眠るタイタニック号をカメラに収めようとした、あるチームのドキュメンタリーです。
この作品の存在を知ったとき「不思議な作品だなあ」と思った。
その理由は、21世紀になった今、莫大な費用をかけて、何のためにそんなことをする必要があるんだろう?と思ったからだ。「深海で朽ち果てていくタイタニックを通して何を訴えたいのか」。
この作品の存在を知ったとき「不思議な作品だなあ」と思った。
その理由は、21世紀になった今、莫大な費用をかけて、何のためにそんなことをする必要があるんだろう?と思ったからだ。「深海で朽ち果てていくタイタニックを通して何を訴えたいのか」。
仮に僕が資金提供を求められる立場の人間だったら、「もっと他に投資すべき先がある」と思う。
でもこの名前があったら投資の是非を考えてみるだろう。
その名前こそがジェームス・キャメロンだ。
その名前こそがジェームス・キャメロンだ。
映画「タイタニック」の監督がホンモノのタイタニックを撮る、という企画書にはちょっとした興味がわく。しかしキャメロンでも、やはりそれを撮る意味は希薄だった。ドキュメンタリーを観ながら僕はずっと考えていた。
「それは何のために行われようとしていたのか?」
「それは何のために行われようとしていたのか?」
撮影は2001年の夏に行われていた。やがて9月を迎え、キャメロンに運命の日がやってきた。
「9.11」
テロという現実を前にしてキャメロンは語る。
「いま、撮影を続ける意味などない」
しかし同時多発テロのおかげで、この作品はドキュメンタリーとしての着地点を見つけることが出来たのだと僕は断言したい。
タイタニックとともに沈んだ1500名の乗客乗員に思いを馳せながら、キャメロンはあらかじめ用意していたスチール製のプレートをタイタニックの船尾に置いた。
しかし同時多発テロのおかげで、この作品はドキュメンタリーとしての着地点を見つけることが出来たのだと僕は断言したい。
タイタニックとともに沈んだ1500名の乗客乗員に思いを馳せながら、キャメロンはあらかじめ用意していたスチール製のプレートをタイタニックの船尾に置いた。
「惨事はいつでもどこでも起きる可能性がある。我々はそれを忘れてはいけない」
って内容だったと思う(笑)。
偶然だけど「9.11」とリンクしたわけだ。これがなかったらドキュメンタリーとしてどう決着つけたのか。自分が当事者だったら、と想像するだけで怖い。
実際タイタニックの映像はどうなのか。
なかなか見ごたえがあります。実写と再現CGをうまくリンクさせていて、ちゃんと見世物にはなっています。どういう状態で沈んでいるのか興味がある人は観る価値アリです。
実際タイタニックの映像はどうなのか。
なかなか見ごたえがあります。実写と再現CGをうまくリンクさせていて、ちゃんと見世物にはなっています。どういう状態で沈んでいるのか興味がある人は観る価値アリです。
ビッグ・フィッシュ [2004年 レビュー]
「ビッグ・フィッシュ」(2003年・アメリカ) 監督:ティム・バートン
「シザーハンズ」と「バットマン」は傑作だと思っている。でも「エド・ウッド」は史上最低の映画だったし、「マーズ・アタック」は観る気がまったくしなくて、「ビートル・ジュース」もあまり好きなタイプの映画じゃなかった。ただし「スリーピー・ホロウ」だけはどちらでもないかなあ。
「シザーハンズ」と「バットマン」は傑作だと思っている。でも「エド・ウッド」は史上最低の映画だったし、「マーズ・アタック」は観る気がまったくしなくて、「ビートル・ジュース」もあまり好きなタイプの映画じゃなかった。ただし「スリーピー・ホロウ」だけはどちらでもないかなあ。
つまり僕の中では「好き嫌いの激しい作品を作る監督」として分類された人なんだけど、この「ビッグ・フィッシュ」は誰もが絶賛していたので、一体どこまですごい作品なのかと、余計な期待をして観た作品でした。
ただし、ティム・バートンファンには垂涎の作品だと思います。なんたって登場するキャラクターが全員濃い!(笑)。
ただし、ティム・バートンファンには垂涎の作品だと思います。なんたって登場するキャラクターが全員濃い!(笑)。
蛇イチゴ [2004年 レビュー]
「蛇イチゴ」(2003年・日本) 監督・脚本:西川美和 主演:宮迫博之、つみきみほ
公開当時28歳だった西川美和の長編デビュー作。ま、いきなり西川何某と言われても皆さんは判りませんわね。
早稲田大学在学中、テレビマンユニオンの入社試験で同社の是枝裕和に見出され映画制作に関わる、というプロフィールの持ち主で、個人的には興味があった。
僕がそのプロフィールを知ったのは、雑誌「インビテーション」の記事で、写真の西川美和は主演のつみきみほと並んでチャイナドレスを着て立っていた。
監督が、主演女優よりも妖艶なメイクを施され、主演女優と並び立つ。不思議な、けれどいい写真だった。
それ以来なんとなく気に留めていて、今日ようやく観るチャンスが来た。
それにしても「蛇イチゴ」…ヘンなタイトルだ。
公開当時28歳だった西川美和の長編デビュー作。ま、いきなり西川何某と言われても皆さんは判りませんわね。
早稲田大学在学中、テレビマンユニオンの入社試験で同社の是枝裕和に見出され映画制作に関わる、というプロフィールの持ち主で、個人的には興味があった。
僕がそのプロフィールを知ったのは、雑誌「インビテーション」の記事で、写真の西川美和は主演のつみきみほと並んでチャイナドレスを着て立っていた。
監督が、主演女優よりも妖艶なメイクを施され、主演女優と並び立つ。不思議な、けれどいい写真だった。
それ以来なんとなく気に留めていて、今日ようやく観るチャンスが来た。
それにしても「蛇イチゴ」…ヘンなタイトルだ。
みなさん、さようなら [2004年 レビュー]
「みなさん、さようなら」(2003年・カナダ/フランス)
2003年・第76回アカデミー賞で「たそがれ清兵衛」を破って外国映画賞を獲得した作品。
僕にとっては「病院で死ぬということ」(監督:市川準 1993年作品)以来の、「死」を真正面から捉えた映画でした。
末期ガンと診断された父と、長く確執が続いていた息子。その家族友人たちの物語。
ストーリーの顛末が意外な展開であるために、まったく涙はない。ただ「死」とは何かを、否応にも考えさせられる。普段忘れている何かを。
僕自身は、ユダヤ教のタムルードにある一説を読んで以来、死に対する恐怖は消えたものと自覚していた。
しかし実際には死の恐怖にフタをしているだけかも知れない、とこの作品を観て思い直す。なぜか。主人公が途中まであまりにも未練がましいからだ。
もちろん未練がましくなければドラマは成り立たない。そういう作品だし。しかも主人公は死の恐怖と戦わずして人生を終えようとする、その姿勢は許しがたいものだった。だけど「なぜそこまでして?」と思い直したときに、自分の覚悟がホンモノなのかどうか自信がなくなってきたのだ。
この作品はひどく放漫な親子の物語である。特殊な立場にある人間の物語である。
誰も共感を得ることの出来ない環境にある登場人物に対して感情移入しろというのが難しい話だ。だから涙はない。末期ガンで父を亡くした僕にも涙はない。不思議な映画だった。
くたばれ!ハリウッド [2004年 レビュー]
「くたばれ!ハリウッド」(2002年・アメリカ)
「ある愛の歌」、「ゴッドファーザー」をヒットさせたハリウッドのカリスマプロデューサー、ロバート・エヴァンスのドキュメンタリー。
「ある愛の歌」、「ゴッドファーザー」をヒットさせたハリウッドのカリスマプロデューサー、ロバート・エヴァンスのドキュメンタリー。
映画の冒頭でエバンスの言葉がスクリーンにスーパーインポーズされる。その言葉がとてもいい。これから始まるドキュメンタリーに対しての「言い訳」でもあるんだけど、含蓄のある言葉だったので採録する。
『どんな話にも3つの側面がある。相手の言い分。自分の言い分。そして真実。誰もウソなどついていない。共通の記憶は微妙に異なる』
ドキュメンタリーに対しての言い訳でありながら、これはドキュメンタリーで語られるドラマの伏線でもある。うまいです。
『どんな話にも3つの側面がある。相手の言い分。自分の言い分。そして真実。誰もウソなどついていない。共通の記憶は微妙に異なる』
ドキュメンタリーに対しての言い訳でありながら、これはドキュメンタリーで語られるドラマの伏線でもある。うまいです。
映画制作の舞台裏に興味がなければ、きっとつまらない映画だと思う。
「デブラ・ウィンガーを探して」は女優がどんどん登場した。だから内容に興味がなくても観ているだけで充分楽しかった。
けれどこの「くたばれ!ハリウッド」は全編エヴァンスのナレーションで進行し、本編の半分以上は写真構成でしかない。
僕はメディアこそ違えど同じプロデューサーという肩書きを持つ者として、劇場公開時から興味があった。でも「劇場で観る必要が???」と思っていた。
実際そうでしたね。劇場で観ていたら「ちきしょう金返せよ」と思いながら六本木ヒルズを歩いていたと思う。
レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード [2004年 レビュー]
「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」(2004年・アメリカ)
一見で観ちゃうとストーリーがよく判らない。これが最大の難点。事前に簡単なストーリーだけ知っておいた方がいい。そうでないと、ジョニー・デップが悪者に見えちゃうのだな(笑)。
一見で観ちゃうとストーリーがよく判らない。これが最大の難点。事前に簡単なストーリーだけ知っておいた方がいい。そうでないと、ジョニー・デップが悪者に見えちゃうのだな(笑)。
アントニオ・バンデラスの最近のヒット作は「スパイ・キッズ」ってくだらない映画になっちゃってますが、ギターと銃を持ったバンデラスはカッコイイね。
ただのメキシコ版「ギターを抱いた渡り鳥」(古い!)なんですけど。でもまあ期待したほどおもしろくなかった。
ウイレム・デフォーとミッキー・ロークが脇役で登場したりするので、前半はすごく期待するんだけどね。どうってことないです。